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飛びのったら行き先ちがう
愛が暴走中、爆弾は投下された。
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タイトルの「なく」は、「鳴く」か「泣く」か「無く」かのいずれか、もしくはぜんぶ。
日本語ってこういう風にいずれかの意味、もしくはすべての意味を込められるからいいですよね。

諏訪子と蛙たちのはなし。BGMは夜に鳴く蛙たちの声で。げろげろ。



げろげろ、蛙の鳴き声が夜空にしんと静かに響く。げろげろ、げろげろ。大合唱は止まらない。
けろけろ、そのなかでぽつりと、蛙の神様の泣き声が夜空と鳴き声に溶け込む。けろけろ、けろけろ。涙は止まらない。

げろり。泣かないでと蛙は鳴く。続いてまたひとつ、泣かないでと蛙が鳴く。げろり、げろりと慰みの歌がしんと響く。
神様はありがとうみんなと言いながらも瞳から流れる涙は止まなかった。とまらない。そしてまた泣き声が静かに溶ける。

蛙の神様が泣きながら言った。もう君たちとは此の地では二度と会えないと。
蛙たちは歌いながら答えた。あなたとは思い出のなかでいつでも会えると。
その言葉を聞いて、神様は目を丸くした。そして嬉しそうに笑った。

ずっと、ずっと忘れないでね、私も忘れないから。と神様は言った。
大丈夫、死ぬまで否死んでも、あなたを忘れませんよ。と蛙たちは言った。


げろげろ、げろげろ。蛙の鳴き声が響く。さよならと別れを告げるように。
蛙の神様の泣き声はもうない。神様が湖をゆっくりと渡って消えていったのと一緒に、消えてしまった。

げろげろ、げろげろ。蛙の泣き声が響く。いまはもういない神様をおもって。
忘れないように、交わした最後の約束を絶対に死んでも破らないように。

そして、
いつか、
いつか、
思い出のなかなんかじゃなくて、
いつかまた、同じ地面を踏みしめてともに鳴き合えることを信じて。

げろげろ、げろげろ。

夜空にしんと静かになきごえは響いていった。












長野に御住まいの蛙さんたちと長野に御住まいでした蛙の神様のお別れの話。さようならじゃなくてさよなら。個人的にそっちの方が重いし想ってる感じがする。
この時期ゆえ寝る前にベッドの上でぐーたらしてると外から自然と蛙の鳴き声が聞こえてくるので、その鳴き声とも泣き声ともつかん声で想像し、指が赴く儘に書いてみました。
スピッツの「魔女旅に出る」で書くつもりが、だいぶずれてしまいました。うぅむ。
諏訪子にとって蛙はかけがえのない大切な子で、蛙にとっても諏訪子はかけがえのない大切な方なんだと思います。
むしろ諏訪子にとって人間より蛙の方が大切なんじゃないかと、それくらい蛙を信用していて同じくらい蛙も諏訪子のことを信用しているのでは。それは人間同士の信頼関係というより動物同士の信頼関係といったほうがぴったり。
それはとても狂信的でありながら、美しい関係だと私は思います。
頭脳が発達し過ぎるのも困りものですね。

うあ、なんだかよくわからないあとがきに。
要するに諏訪子可愛いよ諏訪子ってことですかっこわらい。
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