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レミリアとフランドールの話。 一応オリジナル設定がありますので注意。
フラマリとか咲レミとか好きですけど最近はフラレミが好きみたいです。 私の変換(主に漢字変換)には一応意図があるんですが、それを掴める人ってすごいと思う。 妹は能力を抑えようとして一月に二、三回、反動で深い眠りに堕ちる。最低でも三日、酷い時は一週間くらいずっと眠っている。否、眠ってしまう。つまりそれくらいあの子の能力は厄介で面倒で手がかかる、と言うこと。 いいことだと思う、能力を抑えようと奮闘するのは。私たちや周りをそれだけ想っているんだと感じる。けれどもう少し、私たちや周りを思って欲しいものだ。 がりガリ。 「……お嬢様」 がり、がり。 「お嬢様」 「…何、咲夜」 「失礼、します」 そう言って彼女は私の手を少しだけ強引に掴み、いつの間にか用意していた消毒液を指先の爪にそっと垂らした。何事だと思って最初は驚いたけれど、気付く。 「あぁ、…」 また、か。 また、この癖か。 爪をがりがりガリ、と。 噛む、癖。 爪を噛むのは、昔から在った癖だ。勿論ほぼ無意識のうちに行っていたけれど、今ほどに酷くはなかった。こんな血が出るほど噛んだりは、こんな爪がなくなるほど噛んだりは、それに気付かないほど噛んだりは、しなかった。 咲夜は何も言わず表情も浮かべず黙々と私の爪に手当てをしている。親指だけじゃなかったらしく人差し指にも消毒を施し、絆創膏を貼る。自分が気付かず他人が気付くなんて。相変わらず困った癖だ。 「…気を付けて下さいよ」 ぽろりと呆気なく咲夜が一言洩らす。 「善処は、するわ」 口で言うならなんだって出来る。嘘だって、本当だって、約束だって、別れだって。ましてや生かすことだって殺すことだって出来る。しかしそれ故に口は災いを呼ぶ、と思っている。 「……。…終わりました」 静かに立ち上がった咲夜の表情は見えなかった。笑っているのか、泣いているのか、怒っているのか。多分、呆れてるのかも。 指先に貼られた絆創膏は鉄みたいに冷たく、未だに少しだけ流れ出ている私の血を冷やしていくように感じた。 ▼ ▼ ▼ お姉様。フランはまず起きて私を呼ぶ。そして次に今日は何日、と訊く。私は優しく微笑んで頭を撫でながら日付を答える。その答え次第で彼女は一喜一憂をする。それが、あまり好きではない。 今日は四日ほど眠っていたフランが目を覚ました。そしていつものようにお姉様、と私を呼んだ。 大抵フランが目を覚ますときは私が会いに行っている時が多い。今回もそうだった。会いに行って傍らで読書をしていたりたまにフランの髪を撫でたりしていると目を覚ます。まるで私に合わせているみたいで嬉しくなるけれど、やっぱり気のせいだって判ってもいる。偶々、なんだ、たまたま。 フランの呼び掛けに私はなぁにと答える。そして例の如く今日は何日、と訊いてきた。 「……フラン、」 「ね、お姉様、答えて。今日は何日?」 かつては喜ぶ時とか、悲しむ時とかが判らなかった。三日で悲しそうにする時もあれば一週間でも嬉しそうにする時もあったから。でも今は三日でも一週間でも何でも、悲しそうにする。それが嫌。フランの悲しそうな顔は見たくない。 言い淀む私の顔をじっと真っ直ぐに見つめる。何処かの恋色の白黒魔法使いみたいだとちらりと思った。曲がることなく貫く瞳は酷く純粋で無垢で、しかしそれ故に非道く残酷だ。 「…心配しなくてもいいわ。まだ十八日よ」 本当は、二十日だ。 口は言うなら何でも出来る。しかし何でも出来るからこそ災いを呼ぶのだ。 私は今嘘を吐いた。ついてしまった。些細な、軽い嘘だけれどフランドールにはとても非道い嘘だ。そんな嘘を私は今最愛の妹に吐いてしまった。 だから、何でも出来るから、口は災いを呼ぶのだ。 「もう、駄目なの、フラン?」 珍しいよりもおかしさを感じさせる。深い眠りに堕ちて目が覚めたあとは五日くらいは絶対にまた堕ちることはないと思っていたのに。 「ごめんなさい……お姉様」 「謝らなくていいの、仕方がないことだから…ね」 そう言っていつものように頭を撫でる。さらりさらりとフランの髪の毛が揺れた。 あぁ、ああ。仕方がないことだと解ってるけど判ってるけどわかってるけどそれでももう少しだけこの甘い声を聞いていたいし貫いてくるこの澄んだ瞳を見ていたい。 フランの目が、閉じかかっている。私の意思などそこには無い。またしばらくのお別れねフラン。あぁ嫌だな。あぁ嫌だねフラン。まだ話していたいのに見つめ合っていたいのに。 「フラン」 名残惜しみがのこる声色で口から彼女の名前が紡がれた。ほぼ無意識の行動。それでもフランは反応して、瞼がひくりと動いていた。 「……ふ……、ん、ど…………」 ぼそりとした声を聞き取ることは出来ずに、そして聞き返すことが出来ずに暫くの別れを迎えた。また明日、ではない。また目覚めるまで、だ。 「……」 冷えた指先を見る。咲夜が貼ってくれた絆創膏を剥がすと噛んで半分くらいはなくなっていた爪は伸び、傷も塞がっていた。 あぁ。 また、か。 折角伸びたのにまた噛ませてなくさせて血を出させて。そうして冷たい絆創膏を貼るのか。 咲夜はどんな表情を浮かべるだろう。何も浮かべず「気を付けて下さいよ」と「終わりました」とだけ言って静かに立ち上がるのだろうか。 そうしてまた私も変わらずに「善処は、するわ」と嘘を吐くのだろうか。 あぁ。 また、か。 爪を噛むのは寂しがり屋さんがやるそうです。つまりこの話のレミィは寂しがり屋ってことですよにこり! そんなこんなで爪噛みレミィが書きたいなぁ的な感じで黙々と打っていったら結構長くなっちゃいました。今のところ全部含めて四千文字は越えました。携帯からだとすごく長く見えますが、PCから見るとそうでもないんだろうなぁと思うと少々悲しくもなったりします。あぁー…。 とりあえずフランsideとかも考えていたりするんですが書き上がるかは不明。多分書き上がらない可能性が高い。すいません。 まぁもう眠いので(深夜四時)ここら辺で。おやすみなさい。 PR この記事にコメントする
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